ドローン空撮・空中磁気探査・測量
当社は、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)の利用が、ご提供する技術サービスの適用範囲の拡大、費用の縮減、リスク低減などの付加価値を高め、さらに新たな視点を与えてくれるポテンシャルを有していると信じています。現在まで、主たるフィールドである鉱山、資源関連のフィールドにおいて様々な運用を行ってきました。
適用例
1. 自社及び関係会社が所有する鉱山関連施設・堆積場の空撮によるモニタリング
2. 敷地内の土壌崩壊の写真測量による3次元モデルの作成
3. 関係会社の山積みされた軽量骨材の容積推定
4. 鉱物資源探査のための空中磁気探査
5. 鉱山堆積場の安定性確認や探査地域の微地形解析のためのLiDAR計測による超高精度測量
鉱山施設の老朽化モデリング
空撮による鉱山施設の老朽化モニタリングは、安価で迅速な監視ができる点で、たいへん有用です。
3次元モデルの作成
空中写真の三次元形状復元技術(SfM処理)による斜面崩壊地の3次元モデルの生成
ドローン空撮では、直下の写真撮影を中心とした通常の写真測量の手順による地形の標高モデルが生成できるだけでなく、様々な角度からの写真を撮影することで樹木などの地表を覆う物体の下の地形を抽出できます。
山積みされた骨材の容量把握
空撮写真を山積みされた軽量骨材の容量把握に利用した例です。これもSfM処理を行い3次元モデルを作成する手順で実施しました。撮影の際に、GCP(Ground Controle Point)標識を地表の数か所に設置する必要があります。GCP点はRTK-GNSSにより正確な測量をおこない、リファレンス点として利用します。
SfM処理し点群を作成します。その点群からクレーンやベルトコンベア等の不要な点群を編集で削除した後、DEMやTINを作成します。そのデータを用いて骨材の容積を計算します。
斜面の三次元モデリング
ドローン搭載のカメラを用いて撮影した写真をSfM処理し3次元合成をすることで、様々な対象物の3Dモデルを生成することが可能となります。
構築した3Dモデルを用いると後処理で地層解析も可能になり、単なる写真映像とは異なる価値をもつ情報になります。
上側の写真は、秩父のジオパークの露頭ですが、タービダイトの様子などが明瞭に把握できます。
下側は当社のゼオライト鉱業所の全容のモデルです。
いずれも150枚以上の写真を合成して作成されました。
物理探査への適用
地上での物理探査(重力・磁気探査)は、調査地の地形や植生に行く手を阻まれたり、生息する動物などに注意しながらの作業となり、多くの時間と労力を必要としました。そのため、航空機やヘリコプターなどを利用した空中物理探査を行う場合があります。しかしながら、調査地が十分広域でない場合は費用単価が増大したり、臨時的なヘリポートを必要としたり、十分低空で飛行することが困難であるなど、その利用は限られてきました。
ドローンを利用することで、地上での作業と航空機・ヘリによる探査を狭間を埋めるような調査が可能になりました。当社では磁力計をドローンに搭載し、本格的な空中磁気探査を2017年に鉱物資源探査に適用し、その効果を示しました。
ドローンによる空中磁気探査
当社で北海道北東部のオホーツク海に面した地域で鉱物資源探鉱のためにドローン磁気探査を実施した事例を紹介します。
DJI 社製のドローン Matrice 600 Proにポタシウム磁力計、データ収録及び伝送系の回路を搭載し飛行させました。
下:ドローン光学カメラによる3次元モデル
ドローン磁気探査の総飛行距離は、2017年、18年で合計600 km以上でした。
2017年に実施したドローンによる空中磁気探査では、高度約70mで飛行しました。
ヘリや航空機による磁気探査より高分解能な結果が得られ、陸上での調査に比べて短期間の調査が可能です。
左側の図は、高度補正後の残差磁気異常であり、地溝状の基盤深度変化のある箇所で磁気異常の大きな変化が捉えられています。
右側の図は、Analytic Signalの結果を示しており、地溝状の基盤深度変化や鉱徴地周辺の磁気的特徴を捉えています。
現在は、対地高度40mで飛行および測定が可能となっており、より高分解能な磁気異常を捉えることができます。
《参考文献》
志賀信彦・原田陽夫・和田一成(2019): マルチコプター型ドローンに搭載した磁力計による磁気探査の金属鉱床探査への適用例、日本地球惑星科学連合2019年大会 講演予稿集、STT44-01. [PDF]
LiDAR計測による超高精度測量
当社は、2017年よりLiDAR(Light Detection and Ranging)を使用した超精密地形測量サービスを実施しています。
私たちは、はじめにこの技術を鉱山堆積場の安定性評価のモニタリングについて関連会社へ提供することから開始しました。
2018年5月には、鉱物資源探査での樹木や熊笹などに覆われたシンター域を抽出するためこの精密測量技術を適用しました。
低角度からの調査対象地区(樹木密集部)とLiDAR計測の航跡を示します。本地域では地表から30mの高度を一定にして飛行しました。
幅5mで点群をスライスした断面で河川部、樹木、密集した熊笹が見えます。さらに、地形急変部の形状も明瞭に把握できました。
地形急変部に焦点を絞ると、露頭、落石、倒木なども識別可能です。